研究の概要

 熱工学研究室では、「熱力学」と「流体力学」の境界領域において、基礎的な現象解明を行い、実際の物作りにも貢献することを目指している。これまでの研究成果は、エネルギー、環境、化学、バイオテクノロジー、建設といった分野において有効な知見となっており、熱流動制御法の開発やシミュレーション技術の構築といった課題を進めている。具体的なテーマは次のようである。

1. 環境調和ガスタービンシステムの研究開発

 ガスタービンは小型でも高出力が得られる内燃機関であり、発電や航空のための原動機として利用される。ただし、利用可能な燃料は、精製度の高い化石燃料等に限られている。このガスタービンでバイオマス(木片、農業残渣等)や太陽熱等の自然エネルギーを利用するためには、ガスタービンを外燃機関化する必要がある。

 熱工学研究室では、二つの燃焼器を有する独自のガスタービンサイクルを考案し、実証試験を進めている。この新型ガスタービンシステムは日本を含むアジア諸地域に導入する計画である。

 


2. 乱流熱輸送: 構造とメカニズムの解明

 乱流は、我々の身の回りの様々な所で生じている。例えば、大気や室内の空気は乱れており、人が歩くとその後ろには乱流が生じる。エンジンやタービンの内部のガスの流れ、自動車や航空機の周囲の空気の流れ、石油や天然ガスのパイプラインの燃料の流れは乱流である。

 これらの機器の性能を向上させるには、乱流の特性を良く理解し、熱や濃度の輸送を制御し、最適化することが重要である。研究室では、曲面に沿う乱流中の多重スケール熱輸送機構といった基礎的問題を取り上げ、機器の性能向上に繋がる新知見を見出しており、そのような基礎研究を踏まえて、熱輸送技術やエネルギー機器の開発を進めている。


 熱線風速計による乱流計測

 曲面に沿う乱流熱輸送のDNS

 噴霧燃焼ソフトウェアの開発

 二相乱流のDNS

3.超小型ターボジェットエンジンとその要素技術の研究

 今後の無人航空機(UAV)の産業展開のためには、小型かつ高性能なターボジェットエンジン、あるいは、その派生品であるターボシャフトないしターボプロップエンジンが不可欠である。

 熱工学研究室は、新潟市、新潟地元企業および産業総合技術研究所との連携によるNIIGATA SKY PROJECTに参加し、超小型ターボジェットエンジンの研究開発に取り組んでいる。特に、ジェットエンジンの性能測定と熱力学モデル構築、および燃焼技術の研究に力を入れており、高流量ブロワーと高速度カメラによる可視化実験や燃焼実験を行っている。新潟に新産業を興すことを視野にいれて、ジェットエンジンの商品化に向けて取り組んでいる。

4.高効率太陽熱発電のための高温型集熱技術の開発

 近年、欧州や米国で実用化した集光太陽熱発電(CSP)は、タワー型集光装置による集熱型水蒸気タービンを利用したシステムが主流であるが、集熱温度は560℃程度である。この集熱温度を上昇させることができると太陽熱発電の効率は上昇し、900℃以上にできると、高効率の外燃式ガスタービンシステムの利用が可能となる。

 熱工学研究室では、新型集光装置と組み合わせるための、空気集熱器の開発を、学内および学外との共同研究によって進めている。将来的には、サンベルト地帯の太陽熱プラントに導入することを目指している。